日本視能訓練士協会誌
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一般講演
進行性円錐角膜に対して行った角膜クロスリンキング術前後における角膜形状変化の検討
森川 桃子小島 隆司磯谷 尚輝井藤 麻由香村田 あずさ片岡 嵩博玉置 明野吉田 陽子中村 友昭
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2014 年 43 巻 p. 227-232

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抄録

【目的】円錐角膜の進行抑制治療として角膜クロスリンキング(以下:CXL)を施行した症例の角膜形状変化について検討する。
【対象及び方法】名古屋アイクリニックにて円錐角膜の進行が認められCXLを施行して術後1年以上経過した症例9名11眼(男性5名6眼、女性4名5眼)。平均年齢21.9±6.5歳(15~34歳)を対象とした。
 角膜形状はTMS-4 Advance(TOMEY社)を用い、平均角膜屈折力、角膜乱視、Surface Asymmetry Index、Surface Regularity Index、フーリエ解析による非対称成分、高次不正乱視成分、またOrbscanⅡz(ボシュロム社)を用い角膜前後面Best Fit Sphere(以下:BFS)を術前、術後で比較検討した。統計解析は、術前と術後1年での結果をpaired t testを用い有意水準を5%未満とし行った。
【結果】術前と比較し、術後1年では、平均角膜屈折力の有意な低下(p=0.005)、フーリエ解析による高次不正乱視成分の有意な低下(p=0.028)および、角膜前面BFSの有意なフラット化を認めた(p=0.003)。
【結論】CXLは円錐角膜の進行予防だけでなく、平均角膜屈折力の低下、フーリエ解析による高次不正乱視の低下など角膜形状の変化を伴う治療法であることが示唆された。

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© 2014 公益社団法人 日本視能訓練士協会
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