日本視能訓練士協会誌
Online ISSN : 1883-9215
Print ISSN : 0387-5172
ISSN-L : 0387-5172
一般講演
『片眼性先天性眼瞼下垂におけるテープ挙上の実態調査』
梅原 瑞恵福嶋 紀子豊岡 真由美勝海 修堀 貞夫井上 賢治
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 43 巻 p. 311-317

詳細
抄録

【目的】片眼性先天性眼瞼下垂に対して実施しているテープ挙上の実態調査を行った。
【対象及び方法】対象は、平成19年10月から平成24年6月までに、西葛西井上眼科こどもクリニックを受診した片眼性先天性眼瞼下垂の乳幼児18例(初診時年齢1~25ヶ月)である。ただし、顕性眼位異常、±2.0D以上の屈折異常及びS±1.0以上の左右の屈折の差のいずれかを有するものは除外した。テープ挙上が継続できた症例10例をA群、継続できなかった症例8例をB群とし、2群に分けて検討した。A群とB群間の、テープ挙上の開始月齢と視力差の比較を行った。また、A群においては、テープ挙上実施日数と時間及び継続期間について調査した。
【結果】テープ挙上の平均開始月齢は、A群は6ヶ月、B群は14ヶ月であった。健眼と眼瞼下垂眼で視力差が見られた症例は、A群は3例、B群は4例であった。また、B群の2例においてはlogMARの視力差が0.60と0.67であった。A群のテープ挙上実施時間の実態調査では、終日挙上が最も多く、全体の40%を占めた。また、平均継続期間は22ヶ月であった。
【結論】より月齢の低い患児はテープ拳上に順応しやすく、長期間続けられた症例が多かった。片眼性先天性眼瞼下垂では、下垂の程度が大きいと、乳幼児の視覚発達を妨げることがある。可能な限り早期にテープ拳上を開始することで弱視の予防に役立つと考えられる。

著者関連情報
© 2014 公益社団法人 日本視能訓練士協会
前の記事
feedback
Top