日本視能訓練士協会誌
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一般講演
2つの新しいフーリエドメイン光学式眼球生体計測装置の比較
伊藤 志代美玉置 明野小島 隆司川出 美幸村井 朋子橋爪 良太加賀 達志市川 一夫
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2016 年 45 巻 p. 87-95

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抄録

【目的】フーリエドメイン光学式眼球生体計測装置IOLMaster700(以下M7)とOA-2000(以下OA)を比較すること。

【対象及び方法】2015年3~7月に白内障術前検査としてM7とOAを連続測定した339例611眼。M7、OAの2機種による眼軸長(AL)、前房深度(ACD)、平均角膜屈折力(K)の測定可能率及び測定値を比較し、SRK/T式、Haigis式による予測屈折値と術1ヶ月の自覚屈折値の差を比較した。

【結果】全例でのALの測定可能率は、M7が93.9%、OAは95.3%で有意差は無かった。ALの測定不能例はM7が37眼、OAは29眼で、緑内障発作による浅前房12眼では、M7の測定率は58%でOAの92%と比較し低かった。ACDとKは両機種に差はなかった。AL 測定値は2機種に有意差を認めず、ACDはOAがM7より平均0.07mm長く(p<0.0001)、KはOAがM7より平均0.07D強く計測された(p<0.0001)。ACDに2標準偏差以上の差を認めた30眼中29眼はOAの方が長く、最大1.53mmの差があった。術後屈折誤差は、SRK/T式、Haigis式とも2機種に有意差はなかった。

【結論】M7、OAは高い測定可能率を示し、術後屈折誤差に差はなく同等であった。M7は緑内障発作による浅前房のAL測定可能率が低く、OAはACDが長く計測される場合があり今後の検討が必要である。

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