日本視能訓練士協会誌
Online ISSN : 1883-9215
Print ISSN : 0387-5172
ISSN-L : 0387-5172
一般講演
無水晶体眼における屈折矯正レンズ下での光学式生体計装置の有用性
谷生 えり山本 素士武井 美那子西本 浩子田部 直子栗山 晶治
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 45 巻 p. 159-165

詳細
抄録

【目的】無水晶体眼における屈折矯正レンズ下での光学式生体計測装置の有用性について検討した。

【対象】対象は、2013年11月から2015年7月に、無水晶体眼(人工無水晶体眼27眼、水晶体落下5眼)で、裸眼にて光学式生体計測装置(ZEISS社製IOLMaster®(partial coherence interferometry以下光学式))を用いた眼軸長測定が不可能だった症例31例32眼。

【方法】屈折矯正レンズを装用した状態で眼軸長を測定し、超音波眼軸長測定装置(TOMEY 社製AL-3000®以下超音波式)と比較した。さらに、その差を自験例での有水晶体眼20眼と比較した。また、光学式で測定時に裸眼と屈折矯正レンズ下での固視灯が明瞭に見えたかを問うアンケートを行った。

【結果】屈折矯正レンズ下で眼軸長の測定が可能になったのは、32眼中20眼(62.5%)であった。屈折矯正レンズ下の光学式の眼軸長と超音波式での眼軸長の差は、平均0.21mm±0.15mmで両者の値には強い相関があった(r2=0.99)。

光学式と超音波式による眼軸長の差は、有水晶体眼の場合と統計学的に差はなかった。アンケートより、固視灯が裸眼では不明瞭で屈折矯正レンズ下で明瞭に見えた症例が20眼だった。この20眼は、光学式で 眼軸長が測定出来た症例と全例一致した。

【結論】無水晶体眼で光学式生体計測の不可能な症例に対して、屈折矯正レンズ下で測定を行うと眼軸長測定が可能となり有用である。無水晶体眼での屈折矯正後の光学式眼軸測定装置と超音波式測定装置との差は、有水晶体眼での群と比較し有意差が無く正確である。屈折矯正レンズ下で測定可能になった理由として、固視目標の視認性が改善されたためと思われた。

著者関連情報
© 2016 公益社団法人 日本視能訓練士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top