日本視能訓練士協会誌
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一般講演
非接触眼圧計の結果に角膜特性が及ぼす影響
村上 尚樹筑田 昌一繪野 亜矢子池淵 純子真野 富也
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2016 年 45 巻 p. 259-264

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抄録

【目的】角膜特性で補正する2機種の非接触眼圧計による正常眼の結果を比較した。

対象と方法:正常眼71名109眼(男性25女性46名、平均52.4±19.4歳)を角膜厚から補正するFT-01(TOMEY)と剛性から補正する7CR(Reichert®)を使用し、同時に充分な間隔で測定し、両機種について補正前後値と補正率を比較した。7CRの補正率に影響する背景因子も検討した。

【結果】FT-01の補正前後の平均値はそれぞれ16.0±3.0、16.2±2.7、7CRでは15.1±3.4、16.5±3.0(mmHg)であった。7CRの補正前後値のみに有意差を認め、補正前より有意に高く補正されていた(多重比較検定scheffe's method P<0.05)。補正率はFT-01で平均値1.8、7CRで11.2(%)、7CRによる補正率のほうが有意に高く(Wilcoxon順位和検定P<0.01)、年齢、性別、角膜厚のうち角膜厚のみがその結果に影響していた(重回帰分析 偏回帰係数-0.26、P<0.01)。

【結論】正常眼において、角膜剛性による補正は補正前より有意に高く補正された一方で角膜厚では補正前後で有意差はなく、どちらの結果が真の眼圧値に近似するかさらなる検討を要すると考えられた。剛性による補正では、角膜厚の減少にともない、より高く補正されたことから、角膜厚と剛性の相関関係を示唆された。それぞれの機種による補正が緑内障やその他の疾患に如何に影響するか検討を重ねる必要があると思われた。

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© 2016 公益社団法人 日本視能訓練士協会
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