日本視能訓練士協会誌
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一般講演
白内障術後に両眼性複視を訴えた症例への対処法
飯田 朋美菅澤 淳三村 真士松尾 純子戸成 匡宏西川 優子濱村 美恵子中村 桂子稲泉 令巳子清水 みはる筒井 亜由美南 稔浩阿部 史絵真野 清佳金本 菜都美池田 恒彦
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2018 年 47 巻 p. 91-97

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抄録

【目的】白内障術前には複視の訴えはなく、術後の視力改善に伴って複視を自覚し、不満を訴える症例の対応に苦慮することが多い。今回このような症例への対処法を後ろ向きに調査したので報告する。

【対象と方法】対象は2014年1月~2017年5月に大阪医科大学附属病院眼科を受診し、白内障術後に両眼性複視を訴えた24例(男性10例、女性14例)で、年齢は55歳~89歳(平均76±8.2歳)。対象を外斜視(7例)、内斜視(7例)、上下斜視(10例)の3群に分類し、複視に対する対処法および満足度について検討した。

【結果】複視への対処法としては、プリズム(膜・組込み)が最も多く50.0%(外斜視: 14.3%、内斜視: 71.4%、上下斜視: 60.0%)、頭位での代償が16.7%、遮閉膜と遮光眼鏡とモノビジョン眼鏡は各8.3%であった。様々な対処法に対して特に満足が得られず経過観察となった症例が20.8%であった。全体の満足度を3段階で評価すると、良い66.7%・どちらともいえない25.0%・悪い8.3%であった。

【結論】白内障術後の両眼性複視における対処法は患者間の個人差があり、一概に決められないが、プリズムは試す価値があると思われた。種々の対応を行っても満足の得られない場合もあるが、患者の訴えに耳を傾け日常生活の不自由さを解決するための丁寧な対応が必要であると考えられた。

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© 2018 公益社団法人 日本視能訓練士協会
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