2019 年 48 巻 p. 35-45
【目的】緑内障患者は、常に治療を継続しているため、ロービジョンケアに思い至るきっかけをつかみにくく、治療以外の支援に結び付きにくいと言われている。一方で、他者からのサポートの必要性を訴えているという報告がある。本研究では、緑内障患者のQOLとソーシャル・サポートの関連を調査し、緑内障患者の支援に関する示唆を得ることを目的とする。
【対象と方法】たじみ岩瀬眼科に通院する緑内障性視野障害がみられ、少なくとも片眼の矯正視力が0.7以上の症例を対象とした。また、視野異常をきたすような疾患がない症例を対照群とした。対象人数は、Anderson分類を参考に分類し、初期53名、中期49名、後期45名、対照群51名、計198名である。QOLを評価する尺度としてVFQ-25、ソーシャル・サポートを評価する尺度として日本語版ソーシャル・サポート尺度を使用し、両者の関連を検討した。
【結果】緑内障群において、両者は有意な相関を認めた(r=0.274、p<0.01)。病期別では、後期群のみ有意な相関を認め(r=0.401、p<0.01)、特に「心の健康」(r=0.435、p<0.01)、「社会生活機能」(r=0.433、p<0.01)との関連が強かった。
【結論】後期群においては、ソーシャル・サポートが充実している患者ほど、QOLが高いことが示唆された。したがって、視野障害が進行した緑内障患者の支援においては、ソーシャル・サポートに着目する必要がある。