2019 年 48 巻 p. 65-71
【目的】JACO Stereo Test(以下JACO)、TNO Stereo Test(以下TNO)、Stereo Fly Test(以下FLY)の有用性を比較検討した。
【対象と方法】対象は、斜視や弱視およびその治療歴がない成人ボランティア45例である。方法は、視力、屈折、眼位、優位眼の同定、立体視、抑制検査を行った。なお立体視の判定は、中心窩立体視60秒以下を正常とした。
【結果】平均矯正視力は、右眼1.19、左眼1.19、平均屈折度数は-2.49±2.49Dであった。立体視は、JACO42例(93.3%)、TNO24例(53.3%)、FLY45例(100%)で、3種の検査表間に有意差を認めた(p<0.0001)。さらに多重比較ではJACOとTNO間、TNOとFLY間に有意差を認め(p<0.0001)、JACOとFLY間では有意差を認めなかった(p=0.10)。全検査表で抑制応答はなかったが、JACOの抑制検出視標では、「円形視標が立体的に側方へずれて一つに見える」と応答した例が、0.5度視標15例(33.3%)、1.0度視標13例(28.9%)にみられた。これは、ずれ応答と優位眼とがほぼ一致する結果であった。
【結論】3種の検査表では、TNOのみ立体視の検出率が低かった。JACOの抑制検出視標では、優位眼による影響が応答に反映している可能性が示された。