2019 年 48 巻 p. 89-95
【背景】偏光感受型光干渉断層計(PS-OCT)は、メラニン色素の偏光解消性を利用して網膜や脈絡膜を評価することができる。今回我々は、PS-OCTを用いて滲出型加齢黄斑変性(AMD)の視力と網膜色素上皮(RPE)の偏光解消性について検討したので報告する。
【対象及び方法】対象は、東京大学医学部附属病院を受診した滲出型AMDの32例38眼(平均年齢 71.8 ± 9.7)。後ろ向き調査。PS-OCTを用いて、中心窩を通る水平ラインを撮像し、病型別に中心窩のRPEの偏光解消性の分布を観察し視力と比較した。
【結果】PS-OCTでRPEに偏光解消性の途絶を15眼(39%)に認めた。偏光解消性途絶群の平均視力は0.47±0.24で、偏光解消性連続群の0.09±0.51に比べて優位に視力が悪かった。(t検定 p<0.01)。病形別では、偏光解消性途絶例が、典型AMDで24眼中7眼(29%)、ポリープ状脈絡膜血管症で11眼中5眼(45%)、網膜内血管腫状増殖で3眼中3眼(100%)に見られた。
【結論】PS-OCTでRPEの偏光解消性と視力に関連性を認めた。滲出型AMDでRPEの偏光解消性途絶は、RPEの機能不全を示唆する可能性がある。