2019 年 48 巻 p. 131-136
【目的】特発性眼窩炎症(IOI)は眼窩および眼窩付属器の原因不明の良性・非感染性の炎症性疾患と定義されている。今回治療に反応し再発しない症例と難治例の臨床像を比較したので報告する。
【対象と方法】九州大学病院でIOIと診断した19例19眼を、ステロイド治療または外科的腫瘍切除後のステロイド治療で再発を来さなかった症例を経過良好群、ステロイド治療後再発または炎症所見が遷延するためステロイド離脱できなかった症例を経過不良群に分類した。両群間の年齢、性別、喫煙歴、高血圧の有無、糖尿病の有無、log MAR値、Hess Area Ratio%(ヘス面積比: HAR%)、交代プリズム遮閉試験(APCT)を比較した。さらにlog MAR値、HAR%、APCTは、初診時と治療開始後1ヶ月、3ヶ月で比較検討を行った。
【結果】糖尿病の罹患率は不良群でやや高く(良好群0%、不良群25%、p=0.26)、HAR%は治療開始後3ヶ月において不良群が有意に低値であった(良好群平均98.4%、不良群平均65.3%、p<0.05)。その他の項目は両群間に明らかな有意な差を認めなかった。
【結論】難治例のIOIは治療開始後3ヶ月のHAR%が不良である可能性が高い。