2019 年 48 巻 p. 9-15
恒常性内斜視症例が増加するとされる中、斜視発症のメカニズムを近見反応の適応・学習から考察した。近見反応で重要な性質は、(1)輻湊―調節間クロスリンクが存在するため、調節により輻湊反応が、輻湊により調節反応が起きる、(2)近見反応は極めて環境に適応学習しやすいということである。近方視ばかりを長時間、繰り返し行う視環境となった変化に、近見システムそのものが適応するのであろう。また遠方視が必要とされない視環境であるので、開散運動しないことが現在の内斜視を発症させる1つのメカニズムと考えている。peri-personal spaceに対する近見反応の適応とともに、遠見視・開散の不必要による遠見無視から現代の内斜視について考えてみた。