2020 年 49 巻 p. 21-30
【目的】眼内レンズ(以下IOL)面で1.5Dと3.0Dの加入がある焦点深度拡張3焦点IOL AcrivaUD Reviol Tri-ED611 611T(VSY Biotechnology社)と、IOL面で2.5D加入がある2焦点IOL SV25Tx(Alcon社)の術後成績を比較した。
【対象及び方法】対象は白内障手術を施行しAcrivaUD Reviol Tri-ED611 611Tを挿入した20例20眼(平均年齢60.9±9.7歳;以下T群)とSV25Txを挿入した 18例18眼(平均年齢61.8±9.3歳;以下S群)。術後3ヵ月以上経過観察できた症例の裸眼および遠見矯正下視力(5m、70cm、40cm)、術後等価球面度数、焦点深度曲線、コントラスト感度、ハロー・グレア、術後アンケートを後ろ向きに検討した。
【結果】遠見矯正下視力(5m)はS群が有意に良好で、中間・近見視力は裸眼・遠見矯正下視力(70cm、40cm)ともにT群が有意に良好であった。焦点深度曲線は中間、近見でT群が有意に良好であった。ハロー・グレアは両群に有意差はなかったが、S群のほうがT群よりハローの程度が軽度な傾向がみられた。
【結論】T群は、S群と比較して良好な中間、近見視力を獲得できていたが、S群の方が夜間視の問題が少なかった。患者のライフスタイルに応じた使い分けが必要である。