2020 年 49 巻 p. 105-111
【目的】単焦点眼内レンズを挿入した患者(以下、IOL眼)でも術後眼鏡装用なしで満足の得られる症例があることから、IOL眼における眼鏡不要者の特性を調査した。
【対象及び方法】2017年3月から2018年7月までに関西医科大学附属病院で両眼の白内障手術を施行した症例のうち、白内障以外の眼疾患を有しない129名(平均年齢74.0±8.2歳)に対し眼鏡使用について調査した。眼鏡使用状況から不要群(34名、26%)、遠用眼鏡群(29名、22%)、近用眼鏡群(66名、51%)とし、屈折、視力、眼軸長、瞳孔径、眼鏡使用歴について比較検討を行った。なお術後遠近両用眼鏡使用者は除外した。
【結果】術後等価球面値(以下、SE)の中央値は不要群-0.56D、遠用眼鏡群-3.13D、近用眼鏡群-0.13Dであった。術後両眼開放裸眼視力は5mで近用眼鏡群が有意に良好で、32cmでは遠用眼鏡群が有意に良好であった。眼軸長は遠用眼鏡群が他群と比較して有意に長眼軸であった。術前の眼鏡使用状況については不要群で術前眼鏡不使用者が有意に多かった。(p<0.01)
【結論】IOL眼で眼鏡不要であった症例は、両眼ともに術後SE-0.50D~-1.00D以内の軽度近視で術前に眼鏡不使用であった患者が多かった。