【目的】遠視矯正眼鏡を装用している幼児の中心窩下脈絡膜厚と眼軸長の変化について調査したので報告する。
【対象および方法】対象は弱視または内斜視に対する治療目的で、遠視または遠視性乱視の屈折矯正眼鏡を装用している幼児8名16眼。3歳時と6歳時に行った1%アトロピン点眼1日2回7日間の調節麻痺下屈折検査にあわせて、光干渉断層計により中心窩下脈絡膜厚を測定した。同時に光学的生体測定装置で眼軸長を測定した。
【結果】等価球面屈折値は3歳時+3.76±2.05D(平均値±標準偏差)、6歳時+3.85±2.26D、中心窩下脈絡膜厚は3歳時435±43μm、6歳時442±55μm、眼軸長は3歳時21.05±0.58mm、6歳時21.61±0.65mmであった。10眼(63%)で脈絡膜厚が増加しており、そのうち9眼(57%)で眼軸の伸長を認めた。中心窩下脈絡膜厚の変化量と眼軸長の変化量に有意な負の相関が見られた。
【考按】遠視の屈折矯正を行っている幼児の眼球では、約半数の眼球で脈絡膜厚の増加とともに眼軸の伸長がみられ、脈絡膜厚増加量が大きいほど眼軸伸長量は小さかった。完全屈折矯正眼鏡の装用により、遠視性デフォーカスを排除することで眼軸伸長が抑制され、脈絡膜厚は増加したと考えられる。