日本視能訓練士協会誌
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一般講演
保育所および幼稚園における弱視訓練に対する協力体制の調査
岡村 珠里中川 真紀臼井 千惠林 孝雄
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2020 年 49 巻 p. 167-177

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抄録

【目的】我々は保育所に対して弱視訓練児の受入状況に関するアンケート調査を行い、医療者・保護者・保育所で患児の状況を共有することが大切であり、三者の連携体制づくりが必要であることを確認した。そこで今回は眼鏡装用(以下、眼鏡)または絆創膏式遮閉具による健眼遮閉や健眼アトロピン点眼療法による弱視訓練(以下、訓練)を受けている児の保護者に対して保育所・幼稚園(以下、園)の協力体制等に関する実態調査を行ったので報告する。

【対象と方法】帝京大学医学部附属病院眼科視能矯正外来で眼鏡または訓練を指示された児を持つ保護者(眼鏡34名、訓練16名)に対して園での協力体制に関するアンケート調査をインタビュー形式で行った。

【結果】眼鏡は全ての園で対応可能であったが、訓練は園での健眼遮閉の実施を断られた保護者が16名中1名(6.3%)にあった。園での眼鏡や訓練に関して園と保護者とで個別に約束事を交わしている保護者は眼鏡が34名中16名(47.1%)、訓練が11名中2名(18.2%)で、内容は眼鏡は運動時に外す、取扱は自己管理、眼鏡トラブルの責任を園は請け負わない等があり、訓練は実施中は別保育、低年齢児と一緒の保育は不可等であった。

【結論】通園中の児に対して眼鏡処方や訓練を計画する際には園での協力体制について事前に把握しておく必要があり、医療側は園と保護者とのやりとりが円滑に行えるような配慮が大切と思われた。

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