2020 年 49 巻 p. 179-186
【目的】白内障手術を施行し単焦点眼内レンズを挿入した症例に対して、眼鏡装用状況が日常生活満足度に与える影響を調査した。
【対象及び方法】2017年3月~2018年7月までに当院で両眼の白内障手術を行った症例のうち、白内障以外の眼疾患を有しない146名(74.2±8.2歳)に対し、The 25-Item National Eye Institute Visual Function Questionnaire日本語版アンケート(以下VFQ-25)を使用し日常生活満足度を調査した。術後の眼鏡装用状況から、眼鏡不要群をA群、眼鏡必要だが非装用の群をB群、眼鏡装用群をC群とした。3群間で術前および術後のVFQ-25スコア、等価球面値(以下SE)、片眼裸眼・矯正視力(5m)、両眼裸眼視力(5m、50cm、32cm)について比較検討を行った。
【結果】術後のVFQ-25の総合得点・遠見視力行動においてB群はA群より有意に低く、総合得点・近見視力行動でC群はA群より有意に低かった。術後の近方視時に使われるほうの眼のSEは、B群(SE=-1.06D)がC群(SE=-0.50D)より有意に近視寄りの度数であった(Steel-Dwass法、p<0.05)。
【結論】白内障手術後に眼鏡必要だが非装用の者は、軽度の近視者で、遠用単焦点または遠近両用眼鏡を装用することにより満足度が向上すると考えられる。