【目的】診療所では間欠性外斜視の訓練療法があまり行われていないのが現状である。今回、通院のしやすさを活かして当診療所にて金谷の提唱する実施方法を参考にして訓練を行った。そして、工夫点や訓練終了時期などについて考察したので報告する。
【対象および方法】症例は7〜15歳の12例で、偏位量は遠見2〜45⊿、近見14〜45⊿であった。通院にて抑制除去訓練、生理的複視認知訓練、輻湊訓練、融像訓練を2週間毎に行い、自宅では輻湊訓練および融像訓練を毎日行った。訓練目標は抑制がないこと、遠見・近見ともに斜位を維持できること、輻湊近点が10cm以内であること、融像/偏位比が3.0以上であること、とした。
【結果】訓練期間は16〜60週で、目標を全て達成したのは5例(治癒群)で、この内の1例は訓練41週目から急に改善が起こった。目標のいずれかを達成したのは4例(部分治癒群)、訓練の適応とすべきでなかったのはこわがり融像を認めた3例(非適応群)であり、訓練前に症例を適切に選ぶことの大切さが改めて認識できた。なお、1例は親の同伴なしに児のみで通院できた。
【結論】部分治癒群の特徴として訓練への理解・意欲・集中力の不安定などがみられ、症例に合わせて訓練内容を工夫する必要があったが、長期間の訓練が必要になった場合でも訓練を継続できた。診療所の通院のしやすさは治療効果を上げるうえで利点であると思われた。