抄録
機能不全となった角膜を再生する方法として角膜移植、tissue engineeringによるバイオ再生角膜、高分子化合物による人工角膜の3つがある。角膜移植では、昨今の様々な技術革新により角膜の傷害状況に応じて、角膜を層別に分けて移植する事が可能になってきている。現在の角膜再生法では全層角膜移植、Descemet's stripping automated endothelial keratoplasty、Deep anterior lamellar keratoplastyなどの角膜移植が第一選択となる。瘢痕性角結膜眼では培養上皮シートなどの角膜再生医療での眼表面再建ののちに角膜移植を行う。角膜移植後の経過が良好であればよいが、複数回の移植後も移植片不全となる場合は、涙液機能が保たれていればBoston KProを、涙液が失われていればosteo-odonto-keratoprosthesisを選択される。角膜再生の未来像としては、角膜移植、特にlamellar surgeryは臨床での有用性高く今後も第一選択であり続けるが、フェムトセカンドレーザーのlamellar surgeryや角膜再生医療への応用が今後進むことが予想され、更にはiPS細胞、ES細胞からの角膜上皮、内皮細胞シートの作成などがいずれ実施されるかもしれない。また、角膜移植、人工角膜、角膜再生医療の融合が進行していくことも予想される。