日本視能訓練士協会誌
Online ISSN : 1883-9215
Print ISSN : 0387-5172
ISSN-L : 0387-5172
シックハウス症候群・化学物質過敏症
石川 哲
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 34 巻 p. 1-9

詳細
抄録

最近話題のシックハウス症候群(SHS)、多種化学物質過敏症(MCS)に関してその要点を総説的に解説した。本症は微量化学物質の慢性接触により生じた生体の自律神経、中枢神経、免疫系、内分泌系を中心とする過敏反応である。感覚器としての眼はちかちかする、異物感がある、視力が低下する、かすむ、中心部が見にくい、つかれるなどの症状、訴えが頻度的にも最も多い症状である。これら疾患の診断に眼は最も役に立つ器官である。何故ならば定量的にその障害が極く軽度のレベルから測定出来るからである。
現在特に患者が多いのは新築により生じた症例、またはリフォームによる症例が中心をなしている。我々現代人は過去100年前には体験出来なかった合成化学物質蓄積が既にあり、生体内の解毒システムがそれに動員されるので、本来ならば反応しない低いレベルの物質でも閾値が低く反応が起こり発症する可能性が強い。我々の周辺の環境劣化は健康問題一つとして21世紀には絶対に放置出来ない限界点まで来てしまっている。Sick House, MCS問題で悩んでいる患者もこの環境劣化現象の結果現れた可能性が強い.今後我々は真摯な態度で環境問題を考えそれに対処して行く必要がある点を強調したい。

著者関連情報
© 日本視能訓練士協会
次の記事
feedback
Top