日本視能訓練士協会誌
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多焦点眼内レンズの焦点深度
大木 伸一ビッセン 宮島 弘子中村 邦彦
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2007 年 36 巻 p. 81-84

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抄録

目的:白内障手術後に遠方のみでなく近方視力も得られることを目的とした多焦点眼内レンズ(IOL)が開発され、各IOLの特徴を理解することが適応を決める上で重要となる。今回、屈折型、回折型多焦点IOL挿入後の焦点深度を測定し、単焦点IOLとの違いを比較検討した。
対象と方法:対象は東京歯科大学水道橋病院にて白内障手術目的で屈折型多焦点IOL、回折型多焦点IOL、単焦点IOLを挿入された13例26眼で、術後1ヶ月以降に焦点深度を測定した。焦点深度は最良遠方視力の得られる屈折値をゼロ基点とし、プラス側は2D、マイナス側は5Dまで0.5D刻みで球面度数を付加した視力を測定した。
結果:付加するプラスおよびマイナス度数を横軸、付加した際の視力を縦軸にしたグラフを作成すると、単焦点IOLは、最良視力の得られるゼロ基点を頂点とした一峰性のグラフとなるが、屈折型および回折型は最良視力の得られるゼロ基点とマイナス側でも視力が上がる二峰性のグラフとなった。屈折型に比べ、回折型はゼロ基点と-3Dに明らかなピークを認め、多焦点IOLでもタイプにより、焦点深度曲線が異なっていた。
結論:多焦点IOLは、単焦点IOLに比べ近方視力の向上が期待されるが、屈折型と回折型では焦点深度の変化が異なり、今後適応を決める際、この特徴を理解しておく必要があると思われた。

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