1979 年 28 巻 6 号 p. 421-423
H7.0のアルコール水溶液中での銅 (II) によるリノール酸 (LA) の自動酸化に対するタンパク質並びにペプチドの効果を35℃暗所の条件で調べた。タンパク質並びに600以上の分子量をもつペプチドは銅 (II) イオンと不溶性の複合体を形成し, 銅 (II) によるLAの自動酸化を阻害した。ジペプチド並びに分子量200のペプチドは銅 (II) イオンと可溶性の複合体を形成し, 銅 (II) によるLAの自動酸化を促進した。しかし塩基性ジペプチドは銅 (II) によるLAの自動酸化を阻害した。一般に, 銅 (II) -酸性あるいは中性ジペプチド複合体の酸化促進効果はリノール酸ヒドロペルオキシド (LAHPO) 分解に対する触媒活性と比例した。以上の事実は銅 (II) -塩基性ジペプチド複合体以外の可溶性複合体はLAHPOを分解することによってラジカル生成を促進し, そして不溶性の複合体は銅 (II) イオンを複合体内に閉じこめることによって, 銅 (II) イオンの触媒活性を不活性化していることを示唆している。