1981 年 30 巻 2 号 p. 78-84
トリチウム標識したパルミチン酸単分子膜の界面活性剤溶液中への溶解速度と溶解過程をラジオトレーサー法によって研究した。表面に存在している単分子膜の表面濃度の対数と経過時間の平方根のプロットは直線関係を示した。テトラデシル硫酸ナトリウム (STS) のcmc以下の濃度では速度定数は非常に小さく, ほぼ零であった。STSミセル中へのパルミチン酸の可溶化 (量) が増加するために, cmcで速度定数は急激に増加し, 4.0×10-3mol/dm3以上の濃度では直線的に増加しつづけた。その溶解機構はSaragaの式を次の様に改良した式によって説明した。すなわち, cmc以上でミセルによって膜物質が運ばれることを考慮した。溶解速度と, 単分子膜とミセルとの間のパルミチン酸の平衡分配とからミセルの拡散係数を計算した。