油化学
Online ISSN : 1884-2003
ISSN-L : 0513-398X
実験に見る界面化学の原点
佐々木 恒孝
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1985 年 34 巻 4 号 p. 251-256

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抄録

これは昨年の夏の油化学セミナーで行った演示実験の講演要旨をフルペーパーに書きなおしたものである。セミナーでの演示実験はあまり例がないと思うが, それが八ケ岳山麓清里となると実験も大幅に制限される。これが何とかできたのは実験に使う道具が簡単なものばかりであったためである。器具は全部集めてもみかん箱 (~20×30×33cm) に収まる程度で, しかも約10種類, 40単位くらい実験ができる。それで今まで日本各地で7回, 今年は東京で日化の年会をはじめ中学, 高校で計5回実験を行ってきた。目的は化学人口を増やすためで, 主として高校, 中学の生徒や先生が対象である。これを油化学のセミナーで行ったのは油化学専門の諸氏に界面化学の原点に帰っていただこうというわけである。
さてここで表面という言葉についてひとこと, われわれは物事を表面と内部に区別して考えるとき, とかく内部は見えにくく表面は見えやすいと思い勝ちであり, “内部事情” とか “表面化” とかいう。しかし果たしてそうであろうか。 “あなたの体重は?” と聞かれて答えられない人はないだろうが, “あなたの体の表面積は?” に答えられる人がいるだろうか。測定のしようもない。このように, わかったようでわからないのが表面の性質である。物の表面がいかにわかりにくいかはわれわれが通常測定する物性例えば溶液の濃度, 温度, pH, 電気伝導度, 粘度, 化学反応などの用語の前に “表面” の字を付けると, とたんに測定が難しくなることからもわかる。しかもこれらの表面物性は学問的にも工業的にも重要な特性であることは申すまでもない。このような表面の諸性質をいくつかの簡単な演示実験で示すことを試みる。

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