1987 年 36 巻 7 号 p. 474-479
微孔性疎水性薄膜バイオリアクターを用いて, 高純度のPseudomonas fluorescens産生リパーゼによるとうもろこし油の連続グリセロリシス反応に関して, いくつかの特性を調べた。酵素を含む微水グリセリン中の水分をモニターするため, フローセル型の電気電導度による連続的電気伝導度の測定が有効であった。高純度酵素によるグリセロリシス反応に及ぼす水分濃度の影響は, 粗製酵素によるグリセロリシス反応の場合とは少し異なっていた。すなわち, 遊離脂肪酸が生成し始める水分は3%位であり, これは粗製酵素の場合より約1%低い値であった。ポリプロピレン製の微孔性膜とテフロン製の微孔性膜を比較したところ, テフロン製微孔性膜の方が少し良い成績 (油の同一流量でより高い反応率) を与えた。微水グリセリン中にカルシウムイオンを加えたところ, とうもろこし油を含まない非反応時では著しい酵素の安定性の向上が見られたが, 連続反応中ではむしろ酵素の失活を促した。