1988 年 37 巻 12 号 p. 1108-1113
オリゴ (オキシエチレン) 基を有する水溶性または界面活性ヒドロキサム酸とρ-ニトロフェニルカルボン酸エステル (基質) との反応を, 擬一次反応速度条件下, 30℃, pH8.80の水溶液中で検討し, ヒドロキサム酸による基質の脱アシル化の見掛けの二次反応速度定数を求めた。疎水部にドデシル基またはテトラデシル基を有するヒドロキサム酸は, オクタン酸, ノナン酸, デカン酸, ドデカン酸ρ-ニトロフェニルのような疎水性基質の脱アシル化において優れたミセル触媒効果を示した。さらに, 親水性及び疎水性基質に対する速度定数に及ぼすイオン強度とpHの影響について検討した。オリゴ (オキシエチレン) 基の導入により, アルキルヒドロキサム酸が水溶性となり, 表題化合物は他に有機化合物を加えなくても, 水溶液中でミセル触媒として応用が可能であることがわかった。