1989 年 38 巻 11 号 p. 929-937
本研究は多峰型細孔分布を有する4種の球状合成炭素質吸着剤上での, pHで分画したフミン質フラクションの吸着特性に関するものである。純水及び0.1N水酸化ナトリウム溶液に溶解させた両フミン質フラクションの分子量は, ゲル濾過クロマトグラフィーにより約100から100000 (ポリエチレングリコール又はポリエチレンオキシドとして) を越える範囲で, 見掛け上, それぞれ3成分及び2成分に分画された。この両フミン質フラクションは, 直径50A以下に多量の細孔を持つ吸着剤でよく吸着された。純水及び0.1N水酸化ナトリウム溶液に溶解した両フミン質フラクションの平均分子径は, 光散乱法によればそれぞれ17A及び23Aであった。フミン質フラクションの吸着速度に関しては, フラクション及びそのフラクション中のフミン質成分の分子径が小さくなるにつれ速くなった。これらの結果から水に溶存するフミン質の完全除去には, フミン質の粒径測定と, それに適合した細孔を充分に持つ炭素質吸着剤の選択が重要であることが示唆された。