近年,各種産業において高純度の水が必要とされており水中の微量有機物の除去に関心が高まっている。純水の製造にはイオン交換樹脂は不可欠であるが,前報で報告したように純水製造に用いられる代表的強酸性陽イオン交換樹脂(SACER)から微量有機物が溶出してくる事がわかった。そこで本研究ではこのSACERからの溶出物の除去について検討した。
ゲル型と多孔性の強塩基性陰イオン交換樹脂(SBAER)によるSACER溶出液の吸着等温線を測定したところ,ゲル型樹脂による吸着量は多孔性樹脂よりも大きな値を示した。また,SBAERカラムに溶出液を通液しその流出液のゲル〓過クロマトグラフィー(GFC),逆相クロマトグラフィー(RPC)を測定したところ,分子量約5,000以上の高分子量成分と極性が高い分子量186以下の成分が残存した。つぎにカラム処理を行ったカラム流出液について4種の炭素系吸着剤による吸着処理を行ったところ40%~65%の除去率が得られSBAERでは除去できない溶出成分の炭素系吸着剤による吸着処理は有効であり,特に細孔径50Å以下の細孔が吸着に寄与していることが示唆された。