1991 年 40 巻 12 号 p. 1080-1087
脂質蓄積性糸状菌 (Mortierella ramammiana var.anglispora IFO 8187) 由来のγ-リノレン酸 (GLA) 含有油のラットへの経口投与実験を行い, 血しょう, 肝臓, 赤血球膜等の脂質の脂肪酸組成に及ぼすGLA含量の影響, 及びパーム油, オリブ油, サフラワー油等との比較を行った。糸状菌油給与ラットは対照油と同程度の成長を示すと共に, 組織脂質のアラキドン酸含量の増加を伴った。対照油として同程度 (n-6) 系脂肪酸を含むものとの比較により, GLAがΔ6-不飽和化反応を促進し, さらにサフラワー油との比較により, 高濃度リノール酸給与は逆に, Δ6-不飽和化反応を阻害すると考えられた。一方飼料中のGLA含量の増加 (10%以上) に伴い, 組織脂質のアラキドン酸含量の減少が認められた。