1991 年 40 巻 5 号 p. 392-399
2-ヒドロキシプロピル基とエーテル酸素を持つホスホベタイン型両性界面活性剤・2- [N- (3-アルコキシ-2-ヒドロキシプロピル) -N, N-ジメチルアンモニオ」エチル水素ホスフェート [I] を合成し, その水溶液の界面化学的物性と抗微生物活性をリン酸 2- (N-アルキル-N-メチルアミノ) エチル=ナトリウム [II] と比較した。 [I] の臨界ミセル濃度は低く, 2-ヒドロキシプロピル基, エーテル酸素及びホスホベタイン骨格が疎水性の増大に影響した。一方, [I] と [II] のグラム陽性菌とグラム陰性菌に対する活性は低いが, カビに対してはいずれもアルキル鎖長の増加に伴い強まり, [I] のカビに対するMICは [II] よりも臨界ミセル濃度に大きく依存した。2- [- (3-テトラデシルオキシ-2-ヒドロキシプロピル) -N, N-ジメチルアンモニオ] エチル水素ホスフェートの抗カビ作用はリン酸2- (N-ヘキサデシル-N-メチルアミノ) エチル=ナトリウムと同程度で, クロルヘキシジングルコネートより優れていた。