1994 年 43 巻 4 号 p. 357-363
本研究は硬化油中に残留するニッケル (Ni) の生体への影響を評価するために行った。
6 群の若ラットを異なる濃度 (Niとして 0, 50, 100, 250, 500 及び1000ppm) の塩化ニッケルを添加した飼料で4週間飼育し, 成長, 種々の臓器及び組織での Niの蓄積・ふん (糞) 及び尿へのNiの排せつ及び肝臓におけるメタロチオネインの生成について検討した。
500 ppm以上のNi を含む飼料で飼育した群では, 低成長で, 肝臓, 肺, 腎臓及び全血液でNiの蓄積が多かった。
しかし, すべてのNi 添加群において, Ni総排せつ量の約90% は糞中に排せつされ, 肝臓でのNiを含むメタロチオネインの生成は認められなかった。