油化学
Online ISSN : 1884-2003
ISSN-L : 0513-398X
セサモールから生成するニトロソセサモールの変異原性とDNA鎖切断作用
菊川 清見平本 一幸小島 奈津子新山 弘美加藤 哲太
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1995 年 44 巻 12 号 p. 1041-1049

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抄録

ごま油成分の酸化防止成分セサモールをニトロソ化した時に生成するニトロソセサモールの変異原性とDNA鎖切断作用を検討した。ニトロソセサモールはSalmonella typhimurium TA100に対して直接変異原性を有することが明らかになった。ニトロソセサモールとスーパーコイルDNAをpH 7.4, 37℃で反応させるとDNA一本鎖切断が生じた。この切断は無酸素下および活性酸素捕そく (捉) 剤の存在下で阻害されたことより, 活性酸素によって引き起こされていることが明らかになった。ESRスピントラップ法により, ニトロソセサモールから発生するヒドロキシルラジカルが検出された。ニトロソセサモールによるDNA鎖切断はシステインによって増強された。ニトロソセサモールとシステインによる切断も無酸素下および活性酸素捕そく剤の存在下で阻害されたことより, 活性酸素によって引き起こされていることが明らかになった。ニトロソセサモールとシステインからヒドロキシルラジカルとフェノキシラジカルの生成が認められたが, DNA鎖切断には関与しなかった。他のニトロソフェノール類もシステインの有無にかかわらず活性酸素を介してDNA鎖切断を引き起こした。

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