1995 年 44 巻 4 号 p. 338-340
ケニヤでは多くの植物が薬用として用いられており, それらの葉や根の熱水抽出物, ばいせん (焙煎) したもの, あるいは医薬錠剤の包剤として投与されている。従ってこのような場合には薬用成分のみでなく, 様々な化学成分も体内に入ることになり, それらの副作用が, 特に長期間の服用の時に問題となる可能性がある。このような観点から, 38種類のケニヤ産薬用植物について, ブライン シュリンプを用いるアッセイ法により, 検討した。その結果, その内の一種類 Vernonia auriculiferaのみが致死毒性を示すことを明らかにした。この毒性成分の単離を行ったところ, 非常に不安定であり, 単一成分として得ることはできなかったが, ヨードカリテスト, トリフェニルホスフィンとの反応, 1H-NMR スペクトル等の解析の結果, その毒性成分は脂肪酸メチルエステル過酸化物の混合物であることが示唆された。