1995 年 44 巻 7 号 p. 491-497
(+)-カテキン(1)の酸化防止機構を明らかにする研究の一環として,1とラジカル反応開始剤との反応生成物を,暗所において検討した。各種クロマトグラフィーにより反応溶液から主反応生成物(2)を分離し,分光学的手法および誘導化により,2の構造を検討した。その結果,2は1とその酸化誘導体が結合した酸化二量体であり,既知化合物であるdehydro-dicatechin Aに一致することが明らかとなった。2の構造から,1の酸化防止反応においてB環ばかりでなくA環も反応に関与することが示唆された。また,2は既報の光照射下における1のラジカル反応生成物とは異なる構造の化合物であり,1の酸化防止機構は条件により異なることが推定された。
酵素を用いない反応による1から2の生成反応については,本報告が初めてである。