日本油化学会誌
Online ISSN : 1884-1996
Print ISSN : 1341-8327
ISSN-L : 1341-8327
液体ガルシニアエキス及び水溶性ガルシニアパウダーの体重変化に及ぼす影響
体脂肪蓄積予防素材としての可能性
澤田 玄道富 裕孝田村 幸一阿武 尚彦
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 46 巻 12 号 p. 1467-1474

詳細
抄録

ガルシニアは体重の減少に効果があるとして知られているスパイスである。今日, カルシウム型のガルシニア抽出エキスを含む多くの製品が上市されているが, 有効成分の (-) ヒドロキシクエン酸 (HCA) はおそらくカルシウム塩として存在している。カルシウム型のパウダーは安定性に優れているが, 水に不溶性であるので食品への使用が限られている。したがって, 水溶性のガルシニアエキスが望ましいが, HCAのラクトン型が含まれるようになる。HCAのラクトン型は脂肪合成系の鍵酵素であるATP-クエン酸リアーゼに対する阻害活性が試験管内では極めて低いので, ラクトン型を大量に含む水溶性ガルシニアエキスの体重減少への効果は低いものと思える。しかしながら, ラクトン型が生体内では活性型になる可能性を示した報告がある。そこで, HCAのラクトン型を含む水溶性ガルシニアパウダーと, 液体ガルシニアエキスを調製し, カルシウム型のガルシニアエキスと比較するとともにラット及びヒトでの体重の変化に及ぼすそれらの効果を検討した。
その結果, 飼料と同時に投与する条件では, 水溶性パウダーの方がカルシウム型ガルシニアパウダーより, ラットの体重の増加抑制には効果のあることが示唆された。また, 水溶性ガルシニアパウダー, 液体ガルシニアエキスのいずれも, 脂肪の蓄積を抑制することにより, ヒトの体重減少に有効であることが示唆された。

著者関連情報
© 公益社団法人 日本油化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top