1999 年 48 巻 4 号 p. 331-337,364
荏の油, 大豆油やサフラワー油のような一価および多価不飽和脂肪酸を構成脂肪酸として多く含有する食用油の脂肪酸組成を測定する手段として, リパーゼ加水分解による試料の調製および205nmUV検出器による高速液体クロマトグラフィーの利用法を検討した。生成した脂肪酸は石油エーテルで抽出し, 誘導体に処理することなく酸の形のまま分析した。内部標準に酪酸を用いた。結果は従来のガスクロマトグラフィーによる分析値によく一致した。この方法は, 加水分解およびHPLC分析ともに穏やかな条件で行うことができるので, 不飽和脂肪酸の酸化的劣化や加熱劣化による誤差を少なくして, 食用油の脂肪酸, 特に不飽和脂肪酸の組成を求めるのに有用な簡易分析法になると考えられる。