2023 年 16 巻 1 号 p. 93-98
海外において,火災で発生する有害物質に曝される消防隊員は,将来的に健康を害するリスクを有しているとされており,それを低減するための対策が既に講じられている.
令和2年度の検証では,一般的な建築材料や家庭用品の材料から発がん性を有するVOCであるBZ発生時の火災環境とBZ濃度の関係と,除染の必要性について検証している.
令和3年度の検証では主として,発がん性を有するVOC及びPAH に着目し,模擬的な火災環境を作製し,実際の火災現場で使用されている防火衣への付着状況の把握を行った.その結果,VOC及びPAH の発生を確認し,防火衣に付
着することが明らかになった.将来的な健康被害のリスクを低減させるためには,火災があった部屋の早期の積極的な排煙,防火衣等の各種装備品に対し現場での除染,二次汚染の防止のため密封して保管し,帰署後に除染を行うことが必要である.