論文ID: JOSH-2020-0009-GE
建築物の解体工事において,外壁の倒壊による災害が発生している.解体工事で外壁を解体する際は,一般的に柱や壁の下端の一部を切削してから,外壁を倒す転倒工法と呼ばれる工法を用いている.柱等の一部を切削することを縁切りと呼んでおり,この縁切り作業中に切りすぎて外壁が倒壊し,災害が発生している.そこで本論では,外壁の倒壊災害防止を目的として,外壁における基本部材である柱を対象とし,転倒工法を再現した実験を行った.実験の結果,柱下端を縁切りする際は,柱の転倒方向の前方に位置するコンクリートと転倒後方に位置する主筋を切断し,転倒前方に位置する主筋を残すことが,縁切り型として適していることが分かった.さらに,下端を縁切りした柱の転倒強度の計算方法を構築し,この計算方法を用いて実験結果を補うと伴に,この計算方法の妥当性を検証した.