2022 年 42 巻 3 号 p. 125-130
エリート野球選手の肘UCL断裂は根治治療としては靱帯再建術が標準治療とされ良好な成績が報告されているが,実戦復帰まで長期離脱を要することが多く,選手には大きな負担となり再建術を回避したい状況も遭遇する.当施設で2014年から行っているPRP療法はUCL断裂の保存療法として施行し野球選手58症例中50症例が6ヵ月以内に実戦投球復帰しており,DASH sports score平均値は施行前72.4から6ヵ月後17.0と改善している.特にUCL近位断裂は39症例中36症例が実戦復帰を果たし良好な成績となっている.野球選手の肘UCL損傷に対するPRP療法の効果,今後の課題について文献的考察を加えて報告する.