作業療法
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Print ISSN : 0289-4920
実践報告
振動刺激およびミラーセラピーの併用療法により身体パラフレニアの改善を認めた一例
中島 音衣麻山田 麻和中尾 洋子辻畑 光宏東 登志夫
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2019 年 38 巻 2 号 p. 205-212

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抄録

身体パラフレニア(somatoparaphrenia;以下,SP)は,妄想性の誤認や作話,身体の所有感が消失する現象であり,通常右半球の前頭頭頂葉の広範な病変で生じ,左半球損傷では珍しいとされる.今回,右上下肢の非所属感,他人帰属化,右上肢の擬人化といったSP症状を訴える50歳代女性を担当した.頭部MRIにて左視床に2cmの血腫と,SPECT画像にて左半球の広範囲に血流欠損を認めた.本事例のSP症状に対し,振動刺激とミラーセラピーの併用療法を行ったところ,非所属感の改善を認めることができた.右上下肢への振動刺激とミラーセラピーの併用療法により身体図式が再構築されたことが,SPの改善につながったのではないかと考える.

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© 2019 一般社団法人日本作業療法士協会
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