本研究の目的は,重症心身障害者に対し姿勢ごとの快適性を快反応と瞬目率の変化から評価できるか否かを検討することであった.方法は,シングルケース実験法におけるABAB法で行った.話しかけと見守りを交互に行い,ビデオ撮影で記録した.ビデオ記録から笑顔の段階で評定した快反応が見られた時間の平均と,外界刺激に対する応答的反応としての瞬目率を算出し,ベッド上背臥位と座位保持装置上座位を比較した.結果,座位保持装置上座位は,ベッド上背臥位より快反応時間が短く瞬目率が低いことから,快適性が低いと推測された.以上のことから,反応が乏しい重症心身障害者であっても,行動指標を用いて姿勢ごとの快適性を評価できる可能性が示された.