2022 年 41 巻 5 号 p. 531-541
本研究は,作業療法士がどのようなプロセスを経験することが職業的アイデンティティを高めることにつながるかを検討した.方法は,合目的的に抽出した作業療法士4名にインタビューを実施し,職業的アイデンティティの高い作業療法士がアイデンティティを確立するまでに,どのようなプロセスを経験したかを明らかにした.分析は,複線径路等至性モデル(TEM)を用いた.結果,キャリアの開始時には不安や理想と現実のギャップを経験したが,周囲からの外発的な要請に応える過程で作業療法への関心が高まっていき,職業的アイデンティティを強化していく過程が明らかとなった.