2023 年 42 巻 1 号 p. 102-111
本症例は,読み書きに困難を認める小学3年の学習障害児であり,特に漢字の書きに対して拒否的だった.リハビリテーションアプローチのうち,Information and Communication Technology(ICT)を活用した環境改善的アプローチを優先した支援を通して,書字への拒否感が改善し,認知特性に合わせた適応的アプローチによる漢字の書字学習にも取り組めるようになった.また約2年間の継続した支援により,パソコンを使用したローマ字入力で,自分自身の特徴と求めたい支援についてまとめることができるようになった.しかし,学校側と具体的な連携には至らず,医療と教育との連携に課題が残った.