2025 年 44 巻 2 号 p. 204-210
Alien hand syndrome(AHS)は,他人の手徴候や強制把握,道具の強制使用,拮抗失行などの症状があり,これらは疾患や病巣によりさまざまである.AHSに対し明確なリハビリテーションは確立されていない.近年,中枢神経障害の病態解釈において自己の身体意識に含まれる運動主体感(SoA)や身体所有感(SoO)が着目され,AHSでもSoAとSoOの低下が示唆されている.今回,AHSの症状や情緒の不安定により日常生活動作(ADL)が阻害された症例に対し,身体意識に着目した介入を行った結果,症状が消失しADLの自立度が向上した.AHSに対し身体意識に着目した介入が有効である可能性が示唆された.