2003 年 38.1 巻 p. 25-33
1998年東京都心の銀座地区に導入された「機能更新型高度利用地区」は、事務所と商業系施設の用途を区別し、容積率割増しにより事務所抑制・商業系誘導を図るインセンティブゾーニングである。しかし、本来施設負荷が大きいはずの商業系用途を容積率割増しで誘導することには、果たして合理性があるのだろうか。本稿では、東京都心における用途別・手段別・時間帯別の交通特性を分析することで、新しい用途別容積率型誘導ゾーニングの適用による鉄道のピーク時混雑緩和の「効果」と昼間の自動車交通増大の「副作用」を量的に試算するとともに、銀座地区での約 3年間の建築実績を追跡調査し、施策の妥当性の評価を試みた。