都市計画論文集
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江戸期以降―戦前までの有名遊里・遊廓の都市内における空間的変遷に関する研究
北地 祐幸十代田 朗
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2004 年 39.3 巻 p. 889-894

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抄録

本研究は、江戸期以降戦前までの、地方大都市における遊里・遊廓について、1)遊里・遊廓の都市内における空間構造及び、その変遷の実態を明らかにし、2)江戸期と、明治期以降ではそれらが都市域内においてどのような場所に立地し、また、都市構成要素及び他盛り場要素とどのような地理的関係にあったかについて明らかにする。その結果、江戸期の遊里は、政策的に配置されたものから、自然発生的なものが、追認されるという形で遊里化したものまで見られるが、多くの遊里はあらかじめ集客能力のある場所に立地し、それ以外の場合も芝居場所が併設し、相乗的な効果を計っていた。明治期以降の遊廓は、江戸期から存続するもの、政策的に移転するものが見られ、移転先では、遊廓以外の娯楽施設の発展が見られず、中心街に派生した花街周辺が盛り場化する傾向が認められる。江戸期に遊里のあった盛り場は、明治期以降、多くの都市でその場所を変えない事が認められ、遊廓あるいは花街が中心となって他娯楽要素と共に盛り場化するが、江戸期にその立地場所が、人の溜まる要素を持たない場合は、中心部に花街が発生し新たな盛り場として発展する例も見られる。と得られた。

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© 2004 公益社団法人 日本都市計画学会
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