抄録
本研究は、近代東京の公園計画の計画図面を分析対象に用い、公園計画の量的・地理的な配置特徴を定量的に把握した上で、計画図面と当時の計画標準との関係の変遷を明らかにすることを目的としている。研究の成果は次の2点である。1.初期には計画図面と計画基準が大きく異なっていたが、大・小公園ともに計画図面と計画標準が合致する計画へ変化した。この過程において、小公園は計画図面に示されなくなるが、計画図書に示された数量は計画標準を十分に満たしていた。終期には広大な緑地が計画されたことにより、公園総面積が計画標準に比して大きく不足していた。2.計画標準が洗練されるとともに理想的配置を実現した大公園と、計画図面上から消失する小公園が考察されたが、その後は大公園も消失する方向性にあった。