本研究は、宅地内の庭木や生垣が連担することで、潤い豊かな緑の景観を日常的に享受している地域住民が、その緑の景観に対してどのような評価を行い、また、どの程度の経済価値を見出しているかについて探ろうとするものである。名古屋市の東部地域に位置する緑被率が異なる表山、滝ノ水、名東の各小学校区に居住する地域住民に対して住民意識調査を実施した。その結果、庭木や生垣などによって形成される緑の景観が地域の共有財産として地域住民から一定の評価が得られている表山小学校区について、仮想市場評価法を用いて緑景観に対する支払意思額を算出した。その結果、宅地内にある庭木や生垣で形成される緑の景観であっても、緑被率が高く一定の緑量が確保されていれば、地域の公共財として認識される可能性が高くなること、また、その公共財を保全するために、受益者たる地域住民が一定のコストを負担する可能性があるという結果が得られた。