本研究では、スイスにおけるRail 2000の目指す鉄道ネットワークにおけるハブシステムの特徴を整理するとともに、Rail 2000実施により、1987年から2005年までに主要都市間の所要時間がどの程度短縮されたか、乗継ぎ拠点駅での待ち時間がどの程度短縮されたかなどを、期待所要時間などの都市間公共交通の利便性を計測するのに適した指標を用いて計測する。都市間交通は、単に交通機関の乗車時間だけでなく、運行頻度や乗り継ぎを必要とする場合の待ち時間などが実質的な利便性を大きく左右する。期待所要時間は、これら都市間交通の特徴を総合的に考慮することができる指標となっている。さらに、Rail 2000の目的や効果をふまえたとき、日本の幹線鉄道政策においてどのような方向があり得るかについて考察する。