都市計画論文集
Online ISSN : 2185-0593
Print ISSN : 0916-0647
ISSN-L : 0916-0647
金沢市中心部における歴史的木造家屋ストックの特性に関する研究
宅地の土地利用及び分割・統合履歴と空間特性の関係
小林 史彦川上 光彦松谷 圭祐
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2007 年 42.3 巻 p. 133-138

詳細
抄録

金沢市中心部に残存する歴史的木造家屋が立地する宅地の空間特性を、藩末期土地利用区分と明治以降の宅地分割・統合履歴に着目して明らかにした。研究の基礎資料としては、藩政末期の金沢城下町絵図と都市計画基礎調査データ及び住宅明細図を用いた。過半数の宅地が明治以降に分割された履歴をもち、間口、奥行き、細長比、面積には一定の集中傾向がみられた。間口、細長比、面積は、「平士屋敷等」と「足軽屋敷」、「上屋敷」と「町人地」に類似性があった。前者は間口及び面積が大きく細長比が小さい。後者は間口及び面積が小さく細長比が大きい。「平士屋敷等」と「足軽屋敷」では分割・統合の履歴内容により宅地の形状が多様な展開をみせるのに対し、「町人地」では履歴内容に関わらず間口が狭く、細長比が大きい形状への収束傾向が強い。宅地内家屋配置は、時代が下がるとともにいずれの藩末期土地利用区分でも宅地前面・側面のセットバック率が高くなるが、その度合いには藩末期土地利用区分との関連性がみられ、武士系の土地利用区分では間口や奥行きが小さくてもセットバックする傾向が、「町人地」では間口や奥行きが大きくてもセットバックしない傾向がみられた。

著者関連情報
© 2007 公益社団法人 日本都市計画学会
前の記事 次の記事
feedback
Top