伝統的建造物群保存地区である福岡県・八女福島伝建地区では、小学生による伝統工法体験が行われている。これは、八女市内の建築士で組織する「NPO法人八女町並みデザイン研究会」が中心となって企画・運営をし、それに地元小学校の6年生が地域貢献活動の一環として参加するという図式で行われている。本稿では、このような八女福島における小学生による伝統工法体験を事例として、次の2点について研究する。(1)主な関係主体の住まい・まち学習に対する姿勢、及び小学生による伝統工法体験の運営方法を調査・提示するとともに、運営上の課題を抽出する。(2)伝統工法体験参加者へのアンケートに基づいて、小学生による伝統工法体験の実施意義について考察する一方、その意義を深めるために必要な課題の抽出を行う。なお、(2)で取り上げる事例は、2006年1月に実施されたK家主屋の土壁塗り体験である。